前回は一つ目の暗さ——面の向きによる明暗——を扱いました。今回は二つ目、遮蔽です。
A.O. レンダリング
3D のデジタルレンダリングには A.O. レンダリングという有用な技法があります。A.O. は Ambient Occlusion(環境遮蔽)の略です。この種のレンダリングは全体としてとても白く見えますが、影は非常に深くなりえます。
たとえば Unity のドキュメントの例:https://docs.unity3d.com/Packages/com.unity.postprocessing@2.0/manual/Ambient-Occlusion.html
もうひとつ、https://vr.arvilab.com/blog/ambient-occlusion より。
A.O. レンダリングの原理は、光があらゆる方向から等しい照度で届くと仮定することです。光が到達できない場所だけが深い影として現れます。
A.O. の影そのものの原理は、面どうしが近づくと互いに影を落とし合う、というものです。離れているほど影は柔らかくなり、そうでなければ黒に近いほど深くなります。
ただしこれらの影は投射された光線によって生じるものではないため、投影ではありません。入ってくる光が減衰することによって存在しています。
この区別は明示する価値があります。
| 遮蔽の影 | 投影 | |
|---|---|---|
| 原因 | 光が入ってこられない | 光が遮られる |
| 光源方向への依存 | しない | 完全に依存する |
| 位置 | 常に二面のあいだの隙間 | 遮蔽物の陰側 |
| エッジ | 常に柔らかく、距離で減衰 | 硬くなりうる(点光源の近く) |
| 光源が動くと | 動かない | 一緒に動く |
遮蔽の影は、ライティングを変えても消えません。 曇りの屋外に投影はほとんどありませんが、あらゆる隙間、しわ、接触点は依然として暗い。それが純粋な遮蔽です。曇天の写真が「灰色だがしっかり形がある」ように見えるのもこのためです。
遮蔽はどこに現れるか
問いはひとつだけです。この点からどれだけ空が見えるか。
- 接触点:二つの物が触れるところ。箱と床、足と地面、指と指。もっとも深く鋭い遮蔽です。
- 入隅:壁と壁、壁と床、引き出しの内側、コップの内壁。
- しわとくぼみ:布のしわ、小鼻の脇、眼窩、耳の内側、脇の下。
- 近いが接していない面:腕を体に近づけていて触れていなくても、互いに遮蔽し合います。
逆に、凸の形に遮蔽は生じません。鼻の先、膝、肩峰、指の関節。A.O. のパスではこれらは純白になります。
減衰の法則
遮蔽の強さは距離だけで決まります。
- 面が接している → ほぼ黒。
- 少し離れている → 中間の灰色、エッジが柔らかくなり始める。
- 十分に離れている → ほとんどない。
したがって遮蔽を描くときは、隙間から始めて急速に減衰させるのが正解です。もっとも多い誤りは、一定の幅の濃い線として描いてしまうことで、それは影ではなく輪郭線に見えます。正しい姿は、継ぎ目のすぐ際がもっとも濃く、1〜2 ピクセルで薄くなり始め、そこから柔らかく尾を引く形です。
もうひとつの誤りは、遮蔽を広く描きすぎることです。地面に置かれた球であれば、遮蔽は球と床のあいだのごく小さな楔形の領域だけに生じ、球の下半分に広がったりはしません。広がって見える部分は向きによる暗さであり、前回の内容に属します。
例 1:室内
再び、前回のノートの室内とキャラクターを例にします。
光が入れない領域で影がどれだけ深くなるかに注目してください。
A.O. の影を、前段階のグレースケールの面の向きに乗算すると、より写実的な室内のレンダリングが得られます。
[ A.O. 適用前 ]
[ A.O. 適用後 ]
シーン内で柔らかい影がどのように置かれているかに注目してください。
ここで鍵になる言葉が乗算です。遮蔽は新たに加える灰色の層ではなく、既にある明暗に対する減衰です。デジタルなら乗算レイヤーを、伝統的なデッサンなら既に置いた調子の上からもう一層押さえます。こうすれば明部の遮蔽は暗部の遮蔽より明るいままになります。遮蔽が減らしているのは「どれだけ光が入るか」であって、「最終的にどれだけ暗いか」ではないからです。
オーバーレイを使ったり直接濃く塗ったりすると、明部と暗部の遮蔽が同じ黒さになり、絵は階調を失います。
例 2:キャラクター
人物でもっとも遮蔽が強い箇所はほぼ決まっており、チェックリストとして使えます。
- 顎と首の境目(顔でもっとも深い一点)
- 小鼻の脇、鼻の下
- 上まぶたの落とす眼窩
- 耳の内側
- 鎖骨のくぼみ
- 脇の下、肘の内側、膝の裏
- 指と指のあいだ、指の付け根
- 衣服のしわの底、そして衣服と身体のあいだ
ここを暗く落とすだけで、人物はすぐに画面に座ります。この作業に光源の位置を知る必要はありません。
次回は三つ目の暗さ、投影を扱います。
